ある経済人モデル a model of economic man 2003 5 16

 今、世界では、デフレに対する警戒が起きている。
今後、世界でデフレが進んだ場合、どうなるか。
 ある経済人モデルを仮定して考えてみる。
この経済人は、大学を卒業したばかりの新入社員だったとする。
今は、入社して2か月しか経っていない。
これでは、誰も金を貸してくれない。つまり無借金である。
 そこで、この経済人は、今後、10年間、借金もせず、
ひたすら、まじめに働き、将来、結婚とマイホームの資金のため、
こつこつと貯金に励んだ。
 この経済人であるところの若者は、10年間で、そこそこ会社で出世したので、
新入社員だった頃に比較すれば、給料はだいぶ増えている。
 まだ、家も買っていないし、車もないので、借金はない。
10年間、こつこつと貯金をしてきたので、貯金はいっぱいある。
 こういう経済人がいて、今後、10年間、デフレが続いたとする。
たとえば、デフレ率が毎年2%だったとする。
 さて、この経済人であるところの若者の生活は、どうなるのか。
給料が上がって、物価は下落したので、当然、生活は豊かになる。
土地も家も、資産デフレのお陰で、この10年間で、大きく価格が下がった。
 選り好みをしなければ、10年前に比べると、
場所によっては、不動産価格が半分になった。
 10年後、この若者は、結婚することができ、
家も土地も、破格の値段で手に入れることができた。
生活も、10年間、物価が下がり続けたので、豊かになった。
社会人として、人生のスタート部分は、いいスタートとなった。

さて、この経済人を、新入社員である若者に設定したが、
別に新入社員でなくてもよい。
一生懸命がんばっているけれど、信用力が低くて、
借金すらできない経済人モデルで考えてもよい。
世界には、あまりにも信用力が低くて、
借金すらできない、人種や民族もいる。

 ところで、今は昔、バブルはいけないとして、バブル叩きをやらなかったですか。
バブルとは、インフレの一種です。
インフレであるところのバブルを嫌って、インフレがなくなり、デフレが来たのだから、
あなた方の望んだ世界が来たではないか。
 今は昔、バブル叩きをした者よ、
あなた方が望んだ世界が実現したではないか。

貧乏を愛せば、貧乏になる。
豊かさを愛せば、豊かになる。
嫉妬すれば、嫉妬の対象となった者にはなれない。
金持ちに嫉妬すれば、金持ちにはなれない。
それは、嫉妬すれば、嫉妬の対象像を否定することになる。
この対象像とは、金持ちである。